2021 02
【英語論文】
Dalem, A. A. G. R. (2002). Ecotourism in Indonesia. Linking Green Productivity to Ecotourism: Experiences in the Asia-Pacific Region. Tokyo: Asian Productivity Organisation.
<要約>
エコツーリズムは「責任ある旅行」だと定義づけられている。環境の保全をしながらも、経済を発展させていくことが、バリ島のような観光業で成り立っている地域では不可欠だ。この動きは、1990年代後半あたりからインドネシアでも議論されてきた。実際にエコツーリズムに関してのセミナーも開催されている。エコツーリズムの事例として挙げられるものが、スア・バリ(ジアンヤール)というものだ。スア・バリでは、宿泊施設としてエコツーリズムを準拠している証となる賞を受賞している。宿泊してリラックスできるのはもちろんだが、そこで用いられた水は、排水として捨てられるのではなく、庭の植物の水やりに充てられている。また、宿泊施設でありながらも、学びの場としての側面も兼ね備えてもいるのが特徴的だ。インドネシア語やインドネシアの民俗的衣装であるバティック、伝統料理なども学ぶことができる。それに対して旅行者は寄付をすることで、その地域の維持に貢献している。このように、旅行者はただ旅行に行くだけでなく、現地の環境や文化に触れることができる。エコツーリズムは環境保護と経済発展を両立させるための活動として、世界的に有効であるとされ、行われている。
<感想>
現在、バリなどの観光地が人気となったのは、エコツーリズムによる寄与が大きいと思う。私たちが実際にバリなどへ行く楽しみとして挙げられるものも多くがエコツーリズムに基づいている。シュノーケリングなどはその一つの例だろう。観光客にとって観光地は自身の暮らす家でもなければ国でもない。だからこそ、観光地の環境を蔑ろにしてしまう人も多いのだろう。そのような人々に今一度、自身がどのような立場に置かれているのかを再認識してほしいと思う。近年、観光公害の問題がバリ島でも深刻化している。このような現状打破のために、エコツーリズムは楽しく、そして自然に優しく行える旅行として有効だろう。そして、最終的なゴールとして観光客の意識改革に行きつくはずだ。ここまで、バリ島について言及してきたが、このエコツーリズムは日本国内においても地方で行っている活動とも照らせるだろう。その地域に行った際に実際に取っている行動を、一度振り返ってみて欲しい。
【書籍】
グローバルのススメ:インバウンドとアウトバウンドの架け橋
<要約><感想>
日本は今国際化の中ではあるが、グローバル化はしていない。国際化は受動態的であり、グローバル化は能動的である。本書では外から見た日本と海外の商習慣や物事の考え方のギャップを考察し近い将来に向けて海外で戦うのための日本ビジネスマンに送るバイブルを送る一冊である。本書は全て著者が経験したマカオでのことが記されている。
日本では交渉する際、企業と企業での交渉が多く、あまり個々人でする機会がないが海外ではあくまで人と人での交渉。日本とは180度違い、文化が違えば関わり方も接し方も全てが変わるのである。海外は柔軟でダイナミックな提案に快く受けいれてくれる心の広いのである。よく日本人は海外となると英語ばかり勉強する人がいるがその裏にある文化を学ぶ現地交渉が一番みになる。英語だけでなく心の部分でグローバル化をする必要がある。
今回の書籍では海外のイメージをある意味覆された。確かに海外に行く中で英語ももちろん必要ではあるが自国または相手国の文化を知ることはとても重要であると感じる。自国の文化を伝える、相手の文化を知ることによって私たちはより親密な関係を気づくことができると考える。
【日本語論文】
岩原 紘伊(2018), 「ヘリテージツーリズムと環境問題」,『 日本文化人類学会研究大会発表要旨集』, 2018 巻, 日本文化人類学会第52回研究大会
<要約>
インドネシア・バリ島は、年間約 500 万人(2016 年) の国際観光客を受け入れるインドネシア随一の国際観光地であり、インドネシア政府は、1990 年代からバリ島の文化遺 産の世界文化遺産登録に向けて動き出しており、当初 から候補に挙がっていたのはバリヒンドゥの総本山 と位置づけられるブサキ寺院であった。しかし、地元 社会の反対を受けてその案は撤回され、次に提案され たのがこの「バリ州の文化的景観」だった。2008 年 7 月にカナダ・ケベックで行われた第 32 回世界遺産委 員会においてインドネシア政府により初めて候補と して提出され、ユネスコからの指導を受けたのち、 2012 年に登録に至った。
今日、バリ島に暮らす人びとは環境問題を一層意識せ ざるをえない状況に置かれている。大気汚染、水質汚染、 海岸の浸食やサンゴの破壊、ゴミ問題、水不足など、バ リ社会が直面している環境問題は挙げればきりがない。
こうした目に見えにくい環境問題に加えて、深刻なの は不適切なゴミ処理による水質汚染問題である。生活の 変化によって処理が難しいゴミが増える一方でバリ島 の農村部ではゴミ処分場がなく、空き地や川沿いに捨て られてしまうことが多い。もちろんこれには、農村部で はゴミ処理の方法が限られているということも関係し ており、農村部に暮らす人びとが自分たちの手で主体的 に解決するには限界がある。
<感想>
COVID-19の影響で、観光客が減り、観光産業はとても深刻な状況に置かれているが、観光客の減少により様々な観光地では環境が復元される現象が見られているとマスメディアや様々な媒体を通じて確認できる。
バリ島はリラックスできる世界的に有名な観光地であり、その分、環境汚染問題などのトラブルを抱えている。そのためでも、現在観光客の少ないタイミングで、自然、そして観光政策を見直し、自然にも人間にもやさしく満足できる観光文化作りをするべきなのではないかと岩原(2018)の論文を読んで気づいた。ぜひ、綺麗な景色を持つバリ島を世紀を渡って残すため、観光客もSDGsを意識する必要性も考えられる。こういう問題や政策の改善は今後のバリ島の、そして私たち観光客の課題なのではないだろうか
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