2021.04
更新日:2021年7月1日
2021.04 英語論文
「Does personal freedom influence outbound tourism?」
written by Hassan Fereidouni Gholipour et al.(2014)
Journal:Tourism management 41(2014) 19-25
(概要)
本研究の目的は、個人の自由度がアウトバウンド観光に与える影響を、他の関連するアウトバウンド観光の決定要因をコントロールした上で検証することである。本研究では、80カ国を対象とした13年間(1999年から2011年)のパネルを用い、パネル固定効果と一般化モーメント法(GMM)を適用した。理論モデルからのインプリケーションとしては、ある国で人々の個人的な自由が抑圧されている場合、彼らは旅行を通じて他の国に自分の個人的な自由を求める可能性があるという仮説を立てた。その結果、個人の自由度が低い国ほど、アウトバウンド観光を増加させることが明らかになった。また、個人の自由度とアウトバウンド観光の指標を変えても明らかである。これらの結果は、発展途上国においてより強固なものとなった。
(感想)
アウトバウンド促進の原因には、人の特性やその人が住んでいる国の状態が関わっていることなど気づかなかったので、とても驚いた。アウトバウンド促進には、その国の魅力を発信することも必要であるが、自分が住んでいる国の自由度も重要である。今はコロナで旅行に行くことが難しいが、コロナ収束した際には、自由に旅行できるようにしたい。
◎日本語論文
文化的景観の経済波及効果 : 広島県宮島における観光客調査 [in Japanese]
An Economic Impact Study of Cultural Landscape : a Case Study of Miyajima, Hiroshima [in Japanese]
Journal of the City Planning Institute of Japan 41(2), 49-56, 2006-10-25
The City Planning Institute of Japan
広島県宮島を事例として、文化財を核とした文化的景観が地域にもたらす経済波及効果を分析し、文化財の持つ経済的な価値について検討している。
我が国では様々な地域において、その地域の歴史的文化的なあゆみを顕示する文化財が存在している。文化財を核とした文化的景観は地域住民にアメニティとしての便益をもたらしている一方、文化財の持つ価値の普遍性により、誘客拠点としての機能も発揮し地域経済の振興の一助ともなっている側面がある。
現在、各地域の文化財の維持管理には公的な補助が与えられているが、これは、文化財の持つ公共財的特性を考えれば必要な措置といえる。つまり、文化財のもたらしうる便益は広く拡散し、そこには非排除性および非競合性が認められる。したがって市場原理のみでは適切に管理されない恐れがあり、適切な公的機関の関与が必要になる。しかしながら、地方公共団体の財政が逼迫する状況にあっては、どうしても、文化的景観が地域にもたらす経済的な便益を踏まえて、適切な補助のありかたを考える必要性が生じる。文化的な事物の経済波及効果については、いくつか既存研究がある。たとえば、安田は芸術文化産業について、垣内は滋賀県の黒壁スクエア)、石川県の能登演劇堂について、および松井は福岡県内の文化施設について、経済波及効果を分析している。
更に、2004年11月および 2005 年3月に実施した広島県宮島での観光客調査データをもちいて。今まであまり取り上げられてこなかった文化財のもつ地域経済への波及効果。具体的には生産誘発効果。付加価値誘発効果。雇用効果。県税収効果を明らかにし、文化財の経済的評価が考察されている。地域の経済構造の特徴と合わせて、経済的側面から見た文化財の有効活用の方策について考察している。
比較的近隣に住む住人にリピーターになってもらうことが大切であると分かった。観光需要は様々な面でプラスの効果を示すことから、そこをどう維持し向上させていくかが大きな課題となる。また、今は低迷している観光需要に対して、きっと物理的な移動が制限されているだけで心理的には保ちつつあると思うのでそこをどう呼び戻していくかが、少し先の未来で問われるようになってくると思う。また、文化というツーリズムは現在では少し廃れてきたかのように思われがちであるが、全くをもってそうではなく、文化を押しだし差異化を図ることで大きな集客が見込まれる。
日本語書籍
ハートランド バリ島村ぐらし 大村しげ著
<要約・感想>
皆さんは、バリ島での暮らしを知っていますか。
本書は筆者である大村しげさんがバリ島を何度も訪れる中で見てきた、バリ島独自の食事や儀式、動物、植物などバリ島での暮らしについて書かれている。多くの人がバリ島に行ったことがないと思う。自分もそのうちの1人である。そのためバリ島での暮らしを想像しづらいと思う。しかし、本書は説明と一緒に写真がたくさんあり、「実際にどのような食事なのか」、「どのような暮らしをしているのか」がとても分かりやすかった。
実は、日本とバリ島との時差は一時間とほとんど変わらない。しかし日本と比べると暮らし方は全然違ったのだ。食べるものも違うし、儀式も同じようなものはあっても内容は全然違ったりした。日本と全然違うんだなあとちょっと驚いたのちに、だからこそバリ島に行って実際に体感してみたいなとも思った。
さあ皆さん、バリ島に行って村ぐらしをしてみませんか。
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