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2022.4

更新日:2022年4月21日

◎日本語論文

観光資源としての世界遺産と保護の対象としての世界遺産 ―EU とスペインの場合を通して―

齊藤 功高  2009 年文教大学国際学部共同研究

◎要約

世界遺産として登録されると、世界の注目を浴びるし、観光業界も宣伝をして集客を狙う。その結果、世界遺産を観光客が破壊していくという逆転現象が生じる。世界遺産の登録は年々増加している(2010 年は 911 件)が、それに伴い、危機遺産の数もここ 10 年は年間 30 件以上が報告されている(2010 年は 34 件)。危機にさらされている世界遺産は主に発展途上国に多く、先進国にある世界遺産は危機遺産に登録はされていないが、今は保護され ている先進国の世界遺産でも将来危機遺産に入る可能性は十分にある。観光における世界遺産の保護という視点から、世界遺産は「顕著な普遍的価値」 を有する人類の遺産であるという観点からは、やはり保護を優先とした観光のあり方が講じられるべきである。そのためにも、世界遺産の長期的な保存管理計画に則った施策が世界遺産保有国には要求されるし、それをバックアップする実効性のある体制が国際レベルで要求される。さらに、観光をする私たちの側にも責任がある。世界遺産は人類の共通遺産であるという視点に立った観光マナーが重要になる。そのためにも、世界遺産は単なる文化財や自然財とは異なり、人類の遺産であるという視点での観光教育も必要になるであろう。したがって、持続可能な観光の担い手は観光産業や国際組織、あるいは国家・地域の行政のみならず、観光客としての個人も含まれるのである。

◎感想

世界遺産においては、観光資源として重宝される一方、注目が集まることで更に悪化するというジレンマを抱えている。日本においても富士山が登録されたときに一気に外国からの観光客が押し寄せた。持続可能な観光発展を抱える私たちにとって、そのあり方については微力であるながらも深く考える必要を感じた。


◎英語論文


『Dark tourism and cities』J. John Lennon and Raymond Powell

VOL. 4 NO. 1 2018 、INTERNATIONAL JOURNAL OF TOURISM CITIES


◎要約


 ダークツーリズムとは、災害被災跡地、戦争跡地など、人類の死や悲しみを対象にした観光のことである。ブラックツーリズム: Black tourism)または悲しみのツーリズム: Grief tourism)とも呼ばれている。


 死や災害に関連するサイトは、観光客や観光客に暗い魅力を与えている。 死、苦しみ、訪問、観光は何世紀にもわたって相互に関連してきたが、ダークツーリズムの現象はレノンとフォーリーによってそのように分類され、分類された(1996、2000)。 しかし、1993年にRojekは、「黒い点」と「致命的な魅力」を言及し、彼がポストモダン状態の特徴として特定した致命的な部位を強調した(136ページ)。 しかし、そのような定義フレームワークは狭すぎると考えられ、レノンとフォーリー(1996、2000)は、ダークツーリズムのスペクトル内で確認されるべき古代、現代、ポストモダンの側面があると仮定した。 開発された現象には、次のものが含まれる。


■死亡現場及び災害現場の訪問

■集団または個人の死亡現場への訪問

■投獄された場所への訪問

■死に関連する表現またはシミュレーションの訪問

■死の再現と人間の解釈への訪問


 ここで重要なのは、「暗い」という言葉を主に軽蔑的な言葉として使用することであり、イベントや場所が否定的、過渡的、または疑わしいことを示唆している。 Seaton(1996、2009)が「Thanatourism」と呼ぶ他の形式の訪問は、文学的に有名な作家の墓参りや家族会と戦場を訪問するなど、不吉な意味合いを持つか、全く持っていない。 ただし、都市または都市のコンテキストは頻繁に特徴的だ。


◎感想


 ダークツーリズムは、割と流行っているツーリズムの一種類です!実際、関連のドキュメンタリーとかも公開されていて、話題になっています。

 しかし、本当にダークツーリズムって暗いだけの観光なんでしょうか?!みんなで一緒に考えましょ。 

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