2021・01
- CHJ
- 2021年1月20日
- 読了時間: 5分
更新日:2021年1月21日
【日本語論文】
内海敦子."談話におけるインドネシア語のヴォイス:バリ島で話されているインドネシア語の談話の分析から."明星大学研究紀要:人文学部・日本文化学科26(2018):80-15.
この論文では多種多様な地域によって構成されているインドネシアにおける共通語のインドネシア語のフォーマル・インフォーマル的な使われ方がされてきた流れをレビューしている。
現在のバリ島に居住するバリ人はおおむねバリ語を第一言語としているが、第二言語としてのインドネシア語を用いる場面も多い。インドネシア語はムラユ語を基盤とし、国家語として制定された言語である。バリ島では主に「インドネシア語標準変種」が非常に格式張った場面で用いられ、日常的にはもう少し改まり度の低い「インドネシア語口語変種」が用いられている。
また、バリ島においてはもともと居住していた人々はバリ語を第一言語としているが、観光業が盛んなので、外国人の居住者も多い。従ってジャワ語やマドゥラ語を第一言語としている人々も居住しているし、インドネシア語が共通語として必要とされる状況も多い。特にバリ州の州都であるデンパサールでは多くの民族が暮らしているため、小中学校の授業時間だけでなく休み時間においてもインドネシア語が一番多く用いられるという状況になることも珍しくない(鏡味 2009)。
バリ島でバリ語を第一言語とする話者によって用いられているインドネシア語の変種は基本的に「インドネシア語標準変種」と「インドネシア語口語変種」であるといえる。「インドネシア語標準変種」は儀式など非常に格式張った場面で用いられ、「インドネシア語口語変種」は教育現場や役所などの公的な場面を中心により多くの場面で用いられている。
伝統的なヴォイス選択のパターンは若年層においても用いられているものの、より教育現場で推奨される現代的なパターンに移行していることがうかがえる。「インドネシア語口語変種」は話者の第一言語だけでなく年齢層や教育程度によっても影響を受け、移り変わりつつある。
参考文献
鏡味治也.2009.「インドネシアの学校教育に見る国語と地方語」.『多言語社会インドネシ ア』pp. 97︲120.森山幹弘、塩原朝子編著.東京:めこん
【英語論文】
Virtual Tour: Tourism in the Time of Corona
ATLANTIS PRESS
Proceedings of the 6th International Conference on Social and Political Sciences (ICOSAPS 2020)
Ranny Rastati (2020)
(要約)
2020年3月初めにコロナウイルス病2019(COVID-19)がインドネシアを襲って以来、多くの活動が遅れ、フライトが欠航になり、観光名所が閉鎖された。数ヶ月間続く大規模な社会制限は、人々の旅行を妨げた。COVID-19パンデミックの間、ジャカルタグッドガイドやズームやグーグルミートを介して仮想ツアーを提供する地元のツアープラットフォームが増えた。
また、国内外の博物館や観光地も同様のサービスを提供している。本論文では、オンラインインタビューと観察を行い、バーチャルツアーの参加者の体験を探っている。結果は、実際の旅行感覚の損失、および不安定なインターネット接続がいくつかの弱点であったことを示している。バーチャルツアーは伝統的な旅行に取って代わることはないが、それでも興味深い利点がある。バーチャルツアーを通して、検疫期間中に人々はリラックスを楽しむことができる。COVID-19の代替観光として、バーチャルツアーは物理的な制限を持つ人々が旅行を行い、二酸化炭素排出量を削減するのにも役に立つ。
(感想)
本論文では、バーチャルツアーの有用性が示されていた。コロナウイルスにより、人の移動が制限されたことで、バーチャルツアーが注目された。本論文では、人々の移動の減少により、二酸化炭素の排出量が減少し、環境に良いことが示されていた。
しかし、コロナウイルスにより食料のテイクアウト、マスクなどのごみが増えているのも現状である。そのため、人々の移動の減少が必ずしも環境に良いとは言い切れないと考える。そのため、環境改善は人々の意識に大きく関係しているといえる。
【書籍】
「出稼げば大富豪」
クロイワ・ショウ
KKロングセラーズ 2009年
バリに土地を買い、一攫千金した男の実話をもとに作られた。その土地というのも狙って購入したわけではなく、人助けで行ったことが回ってきた結果もたらされた「縁」である。この本はビジネス書や自己啓発本に近いような内容のところもあるが、日本帳の比較が随所にあり、考え方の違いや、文化の違いなども多く登場する。バリが観光地として名前が広まる前、広まってきた時の事なので少し時代としては古いものがあるのかもしれない。かつての日本はアメリカの真似事をしてく中で大きな飛躍を遂げた。だからそれをバリに持ち込めば李も大きな飛躍につながる。例えば不動産。今となってはリゾート地として有名であるが、広大な野生の地をリゾート施設として開拓することで大きく貢献した。それも、ビジネスのためだけではなく、バリ島の住民のことを思って動いた結果である。本の著者が行ったわけではなく、著者が弟子入りしたアニキと呼ばれる男の話である。アニキはバリ島民と日本人の違いは神にあるという。バリ島には至る所に神棚や供え物がある。それに比べ日本では仏壇すら持たない家も増えてきている。合理化を目指し続けた結果、神様はバリへと引っ越してしまった。と書かれている。バリ島の人々の価値観とともに、本当に大切にしなければいけないものは何かを教えてくれる一冊である。
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