２０２０・１１

【英語論文】

Issues on Bali tourism development and community empowerment to support sustainable tourism development

(要約)

インドネシアの観光の発展は、貧困を避けること、環境や資源、自然を守ること、文化を発展させること、国のイメージを向上させること、ほかの国との関係を強化させることを目的としている。しかし、バリの観光を持続可能なものにすることを達成するために、バリの観光発展に問題がある。その中でもコミュニティの権限が観光発展の重要なカギになる。なぜなら、観光発展したコミュニティでは、文化や自然を維持し続けることができるからだ。そのコミュニティ内すべての人が観光に参加することができれば、持続可能な観光発展は容易に達成することができると考える。

（感想）

観光の発展は国全体のものであると思っていたので、コミュニティ内での観光発展が重要という視点に今まで気づくことができなかった。「one for all, all for one」という言葉にもあるように、小さな単位である地方自治体だけでなく、一人ひとりが観光に力を入れることによって、国全体の発展につながっていくのではないかと考えた。また、Community empowermentという言葉を初めて聞いた。この言葉からわかるように、村や町の価値というのが上がってきていることがわかる。日本でいう町おこしや村おこしの重要性も上がってきていると考える。観光の発展に関しては、地方自治体から積極的に働きかけていくことが必要であると感じた。

【書籍】

変わるバリ変わらないバリ　倉沢愛子・吉原直樹　勉誠出版（2009）

バリについてはこれまでも多くの本が出版されているが、これらの本は定型化されたバリ像に収斂しがちである。しかし当然、バリは変容し続けている。バリは、「変わるバリ、変わらないバリ」とともにあるのだ。本書では、現代のバリの背景にある歴史・文化・社会構造を多様な視点から論じられ、グローバル・ツーリズムの中で大きく変容し、さらに多様化しつつあるバリの現在と将来を具体的に捉えている。

　本書にはコラムが沢山挿入されており、新しいバリが直面している様々な問題を紹介しつつこれまで描かれなかったバリが提示されている。中でも私は「バリ下層社会」のコラムが面白かった。「バリ下層社会」と聞くとヒンドゥー社会の下層カーストを思い浮かべるかもしれないが、実はグローバル・ツーリズムが進展する今日、バリ社会の下層を構成する貧困層はバリ島の隣島であるロンボク島やジャワ島から来た出稼ぎ農民なのである。こういったことは現地を訪れないと分からない。本書は現地でのフィールドワークを実施したうえで書かれているため、バリを訪れたことがない私は、毎回毎回驚かされてばかりであった。

　現代のバリについてもっと詳しく知りたいという方は、是非読むことを推奨する。

【日本語論文】

地域ブランドによる観光まちづくりの一考察

濱田　恵三

　近年地域ブランドによるまちづくりが注目されている。現在、全国各地でみられる地域ブランドによるまちづくりは、地域発の商品物財の開発・販売が主流であると言える。本来、地域ブランドは「地域発の商品サービスのブランド化」と「地域イメージのブランド化」を結びつけ、好循環を生み出し、地域外の資金人材を呼び込むという持続的な地域経済の活性化を図ることだ。すなわちブランディングすることで地域経済を活性化することだ。地域ブランドを構築するためには、地域の特性、あるいは地域にある資源を発見し活かすことが重要だ。そして、地域独自のブランドアイデンティティを確立するには、地域外部の意識と地域内部の意識高揚のマネジメントが不可欠となる。その結果、エリアマネジメントの重要性を指摘した。地域経済はやはり地域の特産物や観光名所を注目させることによって観光客が増え地域の経済が活性化すると考えた。